ロケット開発徒然(1)

会社でクラウドファウンディングを始めました。

ちょうどいい機会だから、普段思っていてもアウトプットしきれないことを書いておこうブログ。

なぜ「みんなの力(ちから)で」ロケットを打上げなければならないのか。

なつのロケット団、インターステラテクノロジズにとっての単なるロケット打上げって意味以上に大きな社会的な意義があると考えているからです。

一つ目の理由。ロケット=国家。
元々は宇宙旅行したい人たちが理論だったり初めての液体ロケットだったりをDIY的に開発していたのがロケット工学の始まりだけど、アプリケーションとして何に使えるかっていうと戦争の道具につかえてしまった。
ナチスドイツからロンドンを攻撃できたり、核弾頭積めたり、冷静の代理戦争としての宇宙開発が出来たりしてしまった。それが本来の使い方みたいに使われてしまったのがロケット技術。
国家や軍ではないところの需要だけではロケット工学の社会実装は出来なかった。

 

開発や運用に巨額の金額がどうしてもかかってしまう。
学生の頃はなんでそんなに開発に費用がかかるんだって不思議だったが、最近はよくわかる。
お金はある分だけ使わないと開発はできない。
開発費用を削るとしたら、ロケットを安くしようとしたら、どこか抜け道をするしか無い。
よく使われる「抜け道」は、「新規開発はしない」「他の用途で開発したものを転用する」などだ。

 

もう一つ。運賃。
なんで人類がもっと宇宙進出していないのか。
よく言われるのが宇宙まで1kgのものを運ぶ運賃が100万円。地球近くなのか、月なのか、火星なのか、地球近くでもどの高度・軌道なのかで全然違うが、1kgの荷物を運ぶのに超大雑把に100万円かかっている。
地球上だと、物流の発達のおかげで地球の裏側にだって1kg数千円もあれば荷物が運べてしまう。
価格差100倍以上。
だから、ロケット開発をしている人の夢は宇宙への輸送コストを100分の1にすること。
100分の1になると地球上と同じように開発が進むだろうって大真面目に思っている。
人類が宇宙進出の鍵はコスト100分の1だと。

 

運賃問題の解決策として、昔から言われているのが「再利用」。
現在使い捨てのロケットを100回繰り返し使えるようにすれば、コスト100分の1じゃないかと。

 

もういちど頭にもどって、僕らのプロジェクトは、「みんなの力(ちから)で」打上げるロケット。
これは1つ目「ロケット=国家」以外の道があるっていうのを示したいから。

開発費用を削るため・安いロケットを作るための「抜け道」を僕らは「新規開発はしない」でも「他の用途のものを転用する」でもなく、「国家飛ばし」だと考えている。
つまり民間での宇宙開発。
国を通してしまうとなんでもオーバーヘッドが大きすぎる。お金にしても意思決定の時間にしても。
オーバーヘッドの極力少ない開発は民間しかないと考えている。
要するに無駄をなくしましょうってこと。
この成功例は既にアメリカにある。日本はまだ、って言われている。国に頼らないと無理だって声も聞き飽きるぐらいに聞きながら開発してる。
今回のクラウドファウンディングは、民間で、つまり税金以外のお金でやるとオーバーヘッドが少ない開発ができますよっていう社会実験。調達目標金額は2700万円。ロケット開発やっている人ならビックリするぐらい観測ロケット1機あたりの値段として考えると安い。(実は全額ではないんだけど。)
民間でお金も集まり、安く打ち上がるってことが達成できたら、これまで日本で宇宙開発をしていた人たちがひっくり返るぐらいのこと。

 

そういうことを達成したい。

 

工学実験という意味もあるんだけど、そういった社会実験だっていうところ。

 

あ、「他のものを転用」っていうのは採用していて、民生品っていって普通に市場で売っている部品を買ってきて使いましょうっていうのはやってますよ。世間一般的にも自分たち的にも普通すぎてなんとも思わなくなってるけど、宇宙開発関係者の中ではかなり注目すべきトピックスだったりする。

 

もう一つ「運賃」の解決については、眠くなってきたのでまた次回。

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