自分でプロペラ設計エクセルシート作ってみたのでデバックというか比較のためにXROTORなどをいじってた。
XROTORはMark Drela先生に連絡をすればアカデミックな利用の場合無料。ビジネスで使う場合は有償で使うことが出来る。
XROTORは中身が分からないし説明ドキュメントもないので詳細は不明だが、最適プロペラの設計と設計点以外での空力特性を計算してくれる。
XFOILと同様にCUIなソフト。昔のソフトなのでお世辞にも使いやすいとは言えない。
XFOILを作ったMark Drela先生とHarold Youngren先生が2007年からQPROPというプロペラ設計とモーターと合わせた性能計算ソフトをGPLライセンスで公開している。
QPROPとは
ここからダウンロードするとqprop.exeとqmil.exeがある。
QPROPはプロペラとDCモーターが合わさったものの性能計算ソフトウェア。
QMILは誘導損失最小(Minimum Induced Loss)のプロペラの設計ソフト。
QMILでは風車の設計に限ってはMILの他にTotal Power最大のものも設計できる。
QMILでは理論説明のpdfを見る限りLarrabeeの方法で設計されるように見える。(間違ってるかも)
なので人力飛行機あたりで十分使えるプロペラが設計できると思われる。
一方QPROPでは翼素理論と渦法を使って性能計算しているようだ。
ただ、設計点以外の動作点ではモーターと合わせた性能計算なのでちょっと扱いが面倒で使いにくい。
模型飛行機のプロペラを考える人は良いんだろうけど。
特徴として、翼型の風洞試験結果のテーブル(XFLR5などの結果でも十分使えるはず)が必要なく、揚力係数を迎角の1次関数\(C_L(\alpha)\)、抗力係数を揚力係数とレイノルズ数の2変数関数\(C_D(C_L,Re)\)として定義して計算させている。
以下、プロペラの設計にだけ興味があるのでQMILだけを取り上げる。
動かし方
.exeファイルをダブルクリックで起動しても一瞬黒い画面が立ち上がって消える。何度やっても同じ。
QMILを使うときはコマンドプロンプト上で動かす。
例えばCドライブ直下やC:\Users\ (ユーザ名)のフォルダにqmil.exeを入れておく
.exeファイルを置いた同じフォルダにインプットファイルを置く
インプットファイルはメモ帳などで作った.txtファイルで良い
コマンドプロンプト(cmd.exe)を開いたらqmil.exeがあるディレクトリ(フォルダ)まで移動して
>qmil (インプットファイル名) (アウトプットファイル名)
を入れる。間に半角スペースが必要。
例えば、インプットファイルをtestprop.txt、アウトプットファイルをoutput.txtとすると下図の赤線のように入力する。ここではWindowsVistaのユーザーフォルダ上で動かしてる。
アウトプットファイルは無くても実行できる。
インプットファイルの作り方
サンプルプロペラ 2 ! ブレード数 0.0000 6.2832 ! CL0 CL_a -0.8000 1.2000 ! CLmin CLmax 0.01000 0.008 0.006 0.40 ! CD0 CD2u CD2l CLCD0 150000.0 -0.500 ! REref REexp 0.0 0.5 1.0 ! XIdes (揚力係数を指定する位置r/R) 0.6 0.5 0.4 ! CLdes (指定する揚力係数) 0.05 ! プロペラの根本までの半径(m) 1.50 ! プロペラの先端までの半径(m) 8.00 ! 機体速度(m/s) 240.0 ! 1分間の回転数(rpm) 0.0 ! 推力(N) (パワー指定なら0にする) 500.0 ! パワー(W) (推力指定なら0にする) 0 0.2 ! Ldes KQdes 30 ! Nout 出力位置の数 (無くても良い)
以上のようにメモ帳などに書いて.txtなど適当な拡張子で保存する。ファイル名に日本語(2バイト文字)はNG
#を書いた行はコメント行、!を書くとその行の後ろの文字はコメントになる。
空白行は無視される。例にのせた数字は公式のsampleに書いてあった数字。
コピペする場合には行の先頭にスペースがないことを確認。
1行目:名前
2行目:ブレード数
3~4行目:翼型の揚力係数
5~6行目:翼型の抗力係数
7~8行目:プロペラ半径方向の揚力係数の分布
9行目:プロペラハブの半径長さ(プロペラが始まる位置)[m]
10行目:プロペラ半径[m]
11行目:機体速度[m/s]
12行目:回転数[rpm]
13行目:推力指定の場合は推力[N]を入れる。パワー指定の場合は0
14行目:パワーしての場合はパワー[W]を入れる。推力指定の場合は0
15行目:Ldesは0,1,2の3択
Ldes=0で誘導損失最小の条件
Ldes=1で損失最小の条件(ただし非推奨)
Ldes=2で全出力最大の条件(ただし風車設計に限る)
KQdesはLdes=2(風車の設計)のときのみ任意で指定できるパワーを減らすための係数
KQdesは0~1.0を指定
16行目:コード長とピッチ角の出力位置の数(無くても良い)
揚力係数と抗力係数については風洞試験の結果やXFLR5などの翼型解析ソフトの結果から
以下のようにグラフから読み取った値を使う
揚力係数
\(C_L0\)はα=0のときの揚力係数。
\(C_La = \Delta C_L / \Delta \alpha\)は揚力傾斜
\(\beta = \sqrt{1-M^2}\)ここでMはマッハ数であり、βはPrantdl-Meyerの圧縮係数
抗力係数
抗力係数は上のように計算される.
\(C_D0\)は最小抗力係数
\[C_D2 = \Delta C_D / \Delta {C_L}^2\]
\(C_LC_D0\)は最小抗力係数になる迎角のときの揚力係数
\(C_D2\)は最小抗力より揚力係数が大きいか小さいかで値が下式のように変わる
\(RE_{ref}\)は\(C_D0\)などを出力したときのレイノルズ数
\(RE_{\exp}=-0.5\)程度がいいらしい.乱流の影響が大きい時は\(RE_{\exp}=-0.2\)
定数の変更
qmil.exeが置いてあるフォルダと同じフォルダにqcon.defというフォルダを置く
中身は
1.184 ! rho (kg/m^3) 空気密度 1.78E-5 ! mu (kg/m-s) 粘性係数 340.0 ! a (m/s) 音速
と記述。メモ帳で上のような3行を書いて、「qcon.def」という名前で保存。.txtになってはダメなので拡張子表示ぐらいはしておく。
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