前回までに以下の様な基板を作っていました。
これは加速度ジャイロ地磁気、更に気圧計を載せて10軸の情報を得られるものです。ロケット姿勢・位置の計測用に使う予定です。当初の予定では秋月電子にも売っているMPL115A2というセンサを使う予定でしたが、さらに高精度な気圧計があるということでピンコンパチなこともあって、そちらのセンサを試してみました。
measurement社のMS5611-01BA03というものです。系列としては秋月電子などにモジュールとして売られているパララックス社高度計測モジュールに載っている気圧高度計のセンサ(MS5607)の次世代バージョンのものになります。
高分解で10cmまで測れると宣言していて本当かよ、とにわかに信じがたいので実際の動作を見てみました。
マイコンはArduinoでI2Cで接続しています。SPIでも繋げられるのでSPIの方が良さそうですが、今回の基板がそもそもMPU-6050というI2Cで繋がる基板への追加部品ということでI2Cでつなげています。
写真のように、5VのArduinoと繋がるようにセンサボートの前にI2Cのレベル変換モジュールを入れています、そしてSDカードに記録するために抵抗分圧で3.3Vで駆動するSDカードとつなげています。SDカードはArduinoにライブラリがあるのでそのまま使いました。すごくお手軽にうごくので嬉しいです。
MS5611でも秋月に売っているパララックス社の高度計測モジュールでも動くライブラリは存在しますが、センサがどのように動いているか理解のために自分でコード書いてみました。
Arduinoの既存のライブラリとしては
パララックス社が公開しているものやFreeIMUを作っている方のブログに公開されているもの
があります。他にもmbedのライブラリとしてセニオネットワークさんが作っておられるライブラリとサンプルがあります。このmbedのライブラリはプロの仕事なので抽象度も高くキレイにまとまっていて勉強になります。
上のライブラリの方がオススメですが、自分で作ったものも公開しておきます。今回はシリアル通信でPCに表示させるところまでです。このあと、ログをSDカードに保存したり、生データにフィルタをかませたり、加速度ジャイロと合わせたりします。
/* MS561101BA用スケッチ MS5607でも使えるはず(たぶん) I2Cでセンサデータを取得し、シリアル通信でPCに表示 by ina111 2012/07/16 */ #include <Wire.h> //気圧計のアドレス #define MS5611_ADDR 0x76 //CBR =HIGHの時は0x76,LOWの時は0x77 //#define MS5607_ADDR 0x76 //気圧計で使う変数 uint16_t C_[6] ={40127, 36924, 23317, 23282, 33464, 28312}; //初期値 uint32_t D1=0,D2=0; int32_t dT,TEMP=0; int64_t OFF,SENS; int64_t T2,OFF2,SENS2; int32_t P=0; int32_t Height; unsigned long now; //現在時間を入れて変換時間を計算 unsigned long lastD1Conv,lastD2Conv; //最後に変換した時間micros() unsigned long ConvTime = 10000; //変換時間[マイクロ秒] boolean SWD1Conv = true, SWD2Conv = true; //D1,D2どっちを処理しているか boolean SWD1D2 = true; //trueでD1の処理,falseでD2の処理 void setup(){ Wire.begin(); Serial.begin(9600); //Serial.begin(115200); delay(100); readPROM(); } void loop(){ getD1(); getD2(); getPressTemp(D1,D2); getHeight(P); Serial.print(millis());Serial.print("\t"); Serial.print(TEMP);Serial.print("\t"); Serial.print(P);Serial.print("\t"); Serial.println(Height); } /* * func name : getD1,getD2 * processing : MS5611の生データD1,D2を取得 * param : * summary : 後述のstartConvとreadADC使用 * 変換の時間前だと変換、変換後なら読み出しを行う * D1とD2は交互に読み出されるようにスイッチしている * return : */ void getD1(){ now = micros(); //SWD1D2==trueだとD1,falseだとD2 //SWD1Conv==trueだと変換、falseかつ時間経過後は読み出し if(SWD1Conv == true && SWD1D2 == true){ startConv(0x48); //D1のとき0x48,D2のとき0x58,OSRによって変化 lastD1Conv = micros(); SWD1Conv = false; }else if(now - lastD1Conv >= ConvTime && SWD1D2 == true){ D1 = readADC(); SWD1Conv = true; SWD1D2 = false; } } void getD2(){ now = micros(); if(SWD2Conv == true && SWD1D2 == false){ startConv(0x58); //D1のとき0x48,D2のとき0x58,OSRによって変化 lastD2Conv = micros(); SWD2Conv = false; }else if(now - lastD2Conv >= ConvTime && SWD1D2 == false){ D2 = readADC(); SWD2Conv = true; SWD1D2 = true; } } /* * func name : getPressTemp,getHeight * processing : MS5611の生データから温度TEMP、気圧P、高度Heightを計算 * param : ADC1,ADC2 / getD1,getD2で得られたD1,D2 * hPa / getPressTempで得られたPをhPaにしたもの * summary : MS5611のデータシートによる計算,と高度気圧式から線形化 * return : */ void getPressTemp(uint32_t ADC1, uint32_t ADC2){ dT = (int32_t)(ADC2 - ((int32_t)C_[4] << 8)); TEMP = 2000 + ((dT * (int64_t)C_[5]) >> 23); OFF = (((int64_t)C_[1]) << 16) + (((int64_t)C_[3] * dT) >> 7); SENS = (((int64_t)C_[0]) << 15) + (((int64_t)C_[2] * dT) >> 8); P = ((ADC1 * SENS) >> 21) - OFF >> 15; if (TEMP < 2000) { T2 = (dT * dT) >> 31; OFF2 = 5 * (TEMP - 2000) * (TEMP - 2000) >> 1; SENS2 = 5 * (TEMP - 2000) * (TEMP - 2000) >> 2; TEMP = TEMP - T2; OFF = OFF - OFF2; SENS = SENS - SENS2; } } void getHeight(int32_t hPa){ //Height = -938.502 * hPa/100.0 + 948697; //t0=30[deg]で1000mまでの線形近似 float t0 =30.0;float P0 = 1013.25; Height = 153.8*(t0+273.2)*(1-pow((hPa/100.0/P0),0.1902)); } /* * func name : startConv,readADC * processing : MS5611の内部ADCの変換開始関数 * 変換後OSRの時間はアクセス不可 * ADCの結果を読み込む関数。returnでuint32_tが出てくる * param : command / D1,D2,OSRによってアドレスが異なる * / OSR(Over Sampling Ratio) * summary : startConv(command) -> delay(10) -> readADC() * 変換コマンドを送信 * 値呼び出しコマンドを送信、受信 * return : * conversion / ADCした値.D1,D2のこと */ void startConv(uint8_t command){ Wire.beginTransmission(MS5611_ADDR); Wire.write(command); Wire.endTransmission(); } uint32_t readADC(){ uint32_t conversion = 0; // start read sequence Wire.beginTransmission(MS5611_ADDR); Wire.write(0x00); Wire.endTransmission(); Wire.beginTransmission(MS5611_ADDR); Wire.requestFrom(MS5611_ADDR, 3); //3byteリクエスト if(Wire.available()){ conversion = Wire.read() * 65536 + Wire.read() * 256 + Wire.read(); } return conversion; } /* * func name : readPROM * processing : MS5611の工場校正値を読み込み * param : * summary : C_[i]に0~5読み込む(C1~C6とは一つズレている) * return : */ void readPROM(){ for(int i=0; i<6; i++){ Wire.beginTransmission(MS5611_ADDR); Wire.write(0xA2 + i*2); //PROMの最初 データシートでは0xA0に見えるが0xA2から Wire.endTransmission(); Wire.beginTransmission(MS5611_ADDR); Wire.requestFrom(MS5611_ADDR,2); if(Wire.available() >= 2){ C_[i] = Wire.read() * 256 + Wire.read(); } } }
大学院でarduinoを用いた4ロータヘリを開発しているものです.
高度計にMS5611を検討しているのですが,どうやって購入されましたか?
購入方法を教えていただけたら幸いです.
今回使ったものはMS5611-01BA03という型番のものです。これはAliexpressから購入したものです。中国の通販サイトからの購入は大学のお金で買うのは難しいかもしれませんが・・・
AliexpressでMS5611で検索するとMPU-6050やHMC5883Lなどの加速度ジャイロ地磁気気圧計と一緒になったモジュールも比較的安く売ってたりするので、これを利用するのもいいのかなと思っています。
ピンバック: Arduino Uno – MS5607を使ってみる | デジモノ覚書
公開してくださったコードの中で、「MS5607でも(多分)使える」と書かれていますが、データシートを見比べてみるとMS5611とMS5607ではいくつか異なる点があるみたいです。
まず温度を用いて気圧を求める式ですが、
MS5611:
OFF =OFF_T1 + TCO * dT = C2 * 2^16 + (C4 * dT ) / 2^7
SENS =SENS_T1 + TCS * dT = C1 * 2^15 + (C3 * dT ) / 2^8
MS5607:
OFF = OFF_T1 + TCO * dT = C2 * 2^17 +(C4 * dT) / 2^6
SENS = SENS_T1 + TCS * dT= C1 * 2^16 + (C3 * dT ) / 2^7
と、ビットシフト数に違いがありました。
また、その計算の温度による場合分けの式では、
MS5611:
TEMP < 20℃の時
OFF2 = 5 ⋅ (TEMP – 2000)^2 / 2^1
SENS2 = 5 ⋅ (TEMP – 2000)^2 / 2^2
TEMP < -15℃の時
OFF2 = OFF2 + 7 ⋅ (TEMP + 1500)^2
SENS2 = SENS2 + 11 ⋅ (TEMP + 1500)^2 / 2^1
MS5607:
TEMP < 20℃の時
OFF2 = 61 ⋅ (TEMP – 2000)^2 / 2^4
SENS2 = 2 ⋅ (TEMP – 2000)^2
TEMP < -15℃の時
OFF2 = OFF2 + 15 ⋅ (TEMP + 1500)^2
SENS2 = SENS2 + 8 ⋅ (TEMP + 1500)^2
と、係数、ビットシフト数に違いがあるようです。
もしかしたら他にも違いがあるかもしれません。
4,5年も前の記事にコメントするのもアレですが…いつも参考にさせてもらってます。よろしくお願いします。
2021年になった今でも読んでる私がいます。昨夜オリンピックが終わったようです。