ダイダロス研究

更新日の今日が人力飛行機Daedalusが飛行距離世界記録を記録した記念日だったのでページ作ってみる。

Daedalusプロジェクト概要

MITの航空宇宙工学部によって進められたプロジェクト。

世界記録を作ったのは1988年4月23日。

飛行距離:115.11km

滞空時間:3時間54分

の記録でギリシャ領クレタ島のイラクリオンを出発してサントリニ島に到達して終了した。

20年経つ現在でもFAIに人力飛行機の飛行距離及び滞空時間の世界記録として記録されている。

ダイダロスというのはギリシャ神話でロウの翼で太陽を目指して飛んでいったイカロスの父である大工で発明家のダイダロス(巧みな工人の意)からきている。

人を飛ばすための技術を冠した名前としてはこれ以上ない立派なものだと思う。

Daedalusプロジェクトでは3機の人力飛行機が作られた。

  • Light Eagle(正式名称Michelob Light Eagle):ダイダロスのための試作機
  • Daedalus 87:1988年2月17日にカルフォルニアにあるNASAドライデン飛行研究センターがあるロジャース乾燥湖で試験飛行中にクラッシュした。後にDaedalus 88のバックアップとして修復された
  • Daedalus 88:世界記録を作った機体

すべての機体はマサチューセッツ州のボストン郊外にあるハンスコムフィールドにあるMITのリンカーン研究所で作られた。チーム構成は学部生と大学院生、教授陣である。

現在は

Daedalus 87はワシントン・ダレス国際空港で展示されている。

Daedalus 88はスミソニアン博物館に保管されている。

そしてLight Eagleはヴァージニア州のマナサス市に保管されていたが、2008年からダイダロスプロジェクトの参加者が設立したオーロラフライトサイエンス社によって高高度試験プラットフォームとして太陽電池駆動無人機として使われている(使われていた?)。写真を見る限りランディングワイヤーが新たに取り付けられているようだ。その他無人機にするために構造は変えずに他の部分で大きく改造されているようだ。

http://www.aurora.aero/advancedconcepts/SLE.aspx

参考

http://kidachi.kazuhi.to/blog/archives/003927.html

http://dobonkai.blog99.fc2.com/blog-entry-27.html

http://youtu.be/wV9CkJLKWIE

http://www.flickr.com/photos/kazuhito/sets/72157603073511667/

記録

Light Eagle

1987年1月にエドワーズ空軍基地所属のGlen Tremmlによって当時の飛行距離、滞空時間の世界記録が作られた。59.9km、2時間13分。またトライアスロン選手だったLois McCallinによって女性記録として直線飛行距離、飛行距離、滞空時間の世界記録が作られた。飛行距離15.44km、滞空時間37分38秒。これらの記録はNASAのドライデン飛行研究センターでもエドワーズ空軍基地で達成された。

Light EagleのためにNASA、MIT、ユナイテッドテクノロジー社などから68.5万ドルの提供を受けた。

Daedalus 87

2機作られたダイダロスの1機目。前述のドライデン飛行研究センターで試験飛行中の右旋回するときにスパイラルダイバージェンスしてしまいクラッシュした。右翼と胴体とプロペラが破損したがDaedalus 88のバックアップ機として修復された。

Daedalus 88

記録を作ったときのパイロットはギリシャ人でオリンピック出場経験のあるプロの自転車乗りのKanellos Kanellopoulosだった。世界記録の出発点はギリシャ領クレタ島のイラクリオン飛行場。FAIの規定に則って自力水平発進した。飛んでいる間は基本的に高度5mから10m。複数の船にエスコートされるように飛行した。ゴールのビーチまで順調に航行した。しかしゴール直前になって陸近くになって風向きが変わり背風になった。背風のために飛行速度はでたが、コントロールが難しく観客がたくさんいる狭いビーチに正面から突っ込む危険性があった。そのためビーチに沿うような向きに尾翼を切ったが砂地の温度が高いために局所的なサーマルを受けて片翼に揚力が出てしまい海側に流されてしまった。また風によってテールブームが捻れたときにコントロールを失った。

結果、フライトは公式記録ではサントリニ島のペリッサビーチから7mの海で終わった。


より大きな地図で Daedalus 88 を表示

諸元

Light Eagle Daedalus 87/88
空虚重量 41.7 [kg] 31.8 [kg]
全備重量 109.8 [kg] 103.9 [kg]
スパン 34.75 [m] 34.14 [m]
翼面積 30.65 [m^2] 30.84 [m^2]
アスペクト比 39.4 37.8
巡航速度 6.3 – 8.0 [m/s] 6.3 – 7.6 [m/s]
必要パワー 0.30 [馬力]以下 0.27 [馬力]以下

完成まで

Phase1-1985年4月~86年4月-実現可能性の検討

Daedalusプロジェクトは1985年4月から86年4月まで実現の可能性の検討を行っていた。このころのデザインはフェアリングの後ろにプロペラがあるものであった。鳥人間の人たちは中ペラと呼ぶ形態。

この頃Mark Drela先生はパイロットの体重の半分程度の重量の機体であれば大まかな近似において必要とする出力はパイロットの重量に比例することを示した。体重が450g増えると1.5W増えるという概算であった。

このことを知らずに昔自分で計算したことあったけど1kg増えると3W増えると出してたから細かい値は別にして長距離狙う人力飛行機ならこのぐらいの出力重量比になることがわかる。

この時期はクレタ島に行っての場所の確保とスポンサーの確保に相当の時間が当てられたようだ

Phase2-1986年4月~87年4月-試作機Light Eagle

アンハイザー=ブッシュ(Anheuser Busch)というバドワイザーなんかを作ってるビール会社がスポンサーについてくれることになり、試作機の名前をMichelob Light Eagleにした。ミケロブ(Michelob)は同社のブランド商品のひとつ。Eagleは同社のシンボルマーク。英語圏の人がみたらビールっぽい名前に感じるのだろうか(笑)

この時期にDrela先生はXFOILを完成させて新しい翼型の検討をしていた。XFOILは必要なレイノルズ領域では風洞試験より精度が良かった。風洞では周りの壁や模型支持棒などの影響をうけるからだ。

この時期に翼の2次構造をつくるためのCNCのフォームカッター(熱線と土台をコンピュータ制御で動かしてスタイロを切る機械)が製作された。リブを切るだけではなく大きなブロックから前縁材を切り出すのにも使われた。この機械があるためにDaedalusプロジェクトには翼を担当するsectionが無かった。

CNCのフォームカッターを自作しているひとのリンクを貼りつけておく

http://rockhill-555.world.coocan.jp/bbs/joy-b/hobby-cnc.cgi?page:35=v

http://homepage2.nifty.com/modelicengine/h9100401.htm

http://nonnno.hobby-web.net/

http://www.teaser.fr/~abrea/cncnet/table/tables.phtml

http://www.hobbycnc.com/

同時にパイロットも決定された。5人のオリンピック出場級の人を集めて、訓練させた。危険が伴うので人集めには苦労したようだ。体力的には十分だったので体力作りとともにこのために作られたフライトシミュレータなどで飛行機操縦の経験を積ませることを重視した。

機体に何も積まないと水分や糖分、塩分がなくなって体力が切れてしまうので特別なドリンクが開発された。

http://www.fsinet.or.jp/~active-g/

のKoToNo Librarryから8.『ダイダロスプロジェクト 生理学的問題と解決』を参照。

Light Eagleは18人でのべ15000時間で作られた。これは18人が1日8時間フルタイムを100日ちょっとかかるぐらいの作業量。

Light Eagleが完成してから翼表面が層流であるかどうかの確認の実験が行われた。翼表面に粉末と液体の混合物を塗布して液体が乾くときに流脈線が視えることによって流れの遷移が確認できる。結果はXFOILで解析した通りの範囲で層流であることがわかった。ただ、翼端はエルロンがあったりと複雑な構造をしていたために前縁材部分で乱流に遷移していた。Daedalusでは密度の高いフォーム材が使われるようになった。

必要パワーの測定が行われた。滑空角を使って必要パワーを計算することはわずかな上昇気流によって影響を受けるために難しい。したがってプロペラシャフトにひずみゲージを貼りつけることによって必要パワーを測定した。

驚くべきことに高度3mから7.6mに変わっても地面効果の影響はなく、必要パワーは一定だった。

一番いい必要パワーの計測方法はパイロットの主観的な推定だが。

オートパイロットの検討

高度が一定になるようなオートパイロットも検討されていたが、高度計が信頼に値するものでなかったからつくられなかった。

Phase3 -1987年4月~88年- Daedalus

ダイダロスのフレームはLight Eagleに比べて大幅に軽量化されえている。なぜなら荷重係数が3Gから1.75Gに変わったからだ。それにグレードの高いカーボン糸を使っている。しかもLight Eagleの翼端3.7mに付いていたエルロンもDaedalusにはついていない。

パイロット

全体

Weight analysis of the daedalus human powered aircraft(ダイダロス人力飛行機の重量解析)

↑がDeadalusの各部品の重量についてすばらしくまとまっているエントリーです。

片持ちの主桁の重量については元居たサークルで実績的に、もっと軽くできると反論できるが、それ以外は各部品が如何に極限まで軽量化されているかがよくわかる。

1次構造

主翼

尾翼

コクピット

駆動

操舵

フェアリング

フェアリングの白く見える部分はケブラー繊維の複合材料(AFRP)で作られている。

長距離を狙う人力飛行機のフェアリング(パイロットを覆っている部分)は以下を意識して設計製作されていると思う。

狙いどころ 対策
抗力の減少 前方投影面積減少・翼型工夫・精度向上・干渉抗力減少
横すべり方向の安定性 側方投影面積考慮
視界確保 透明素材の使用
パイロット冷却 インテイク・アウトレットの配置大きさ工夫
軽量化 構造の工夫・素材の選び方

最近の鳥人間コンテストに出る機体の多くがフェアリングノーズ部分に穴を開けてインテイク(空気を取り入れる部分)にしている。アウトレット(空気が出ていく部分)は翼型の再現と後縁の流れの剥離を嫌ってフェアリングの70%から90%の部分につけている。

一方ダイダロスは主翼の下、パイロットの頭の真上にインテイクが付いている。

ここに取り付けることで翼型によって加速されていない空気が入り、後縁に隙間を開けたアウトレットによって空気を出している。

加速された流れを入れて減速した流れを出すとその運動量分が抗力になる。Daedalusは空気の入出流によって速度が変わらないように上手く設計されている。

さらに、パイロットの発熱量と酸素必要量を計算して必要なだけの空気流入させている。入った空気は曲がり管を通してパイロットに直接フレッシュエアーが当たるようにしている。パイロットの快適性を求めると際限がないので必要なものを必要なだけ供給するように合理的に設計されている。

プロペラ

Daedalus88
プロペラ半径[m] 1.7
ブレード数[-] 2
定常速度[m/s] 6.7
回転数[rpm] 110
巡航時入力パワー[W] 200
Cl[-] 0.7
Cd[-] 0.015
Cl0[0] -4.0
翼型 DAE51

プロペラの設計にはXROTORというソフトを使用している。XROTORは最近GPLのフリーソフトになったので自分でコンパイルすれば使える。

参考:XROTORがフリーソフトになってたのでUbuntu上で動かしてみた

xrotorのコンパイルについて

修正されたLarrabeeの手法では最適プロペラが根元の細くなったプロペラになるが、プロペラのスパーが入るように根元が太く調整されている。太くすることで根元のレイノルズ数が上がり、全体の効率は上がっているはずである。これは渦法での設計によってわかる。

計器

まだまだ更新予定。

リンク

XROTORがフリーソフトになってたのでUbuntu上で動かしてみた

XFOILの生みの親であるMark Drela教授のプロペラ設計のためのプログラムであるXROTORが今年になってライセンスがGNU GPLのフリーソフトになっていたので動かしてみた。

XROTORが先に開発されてしばらく商用シェアウェア、アカデミックはフリーのソフトとして存在していたが、そのあとモーター込みでの性能の計算プログラムとしてQPROPというソフトが作られてGPLで公開されていた。それに続く形でXROTORのGPLへのライセンス移行だった。

QPROPについては前の記事を参考にしてください。

XROTORでは飛行機のプロペラの設計と性能計算、風車の設計と性能計算が可能。

プロペラは修正されたLarrabee法という手法で設計される。

 

今あるのはソースコードだけなので自分でコンパイルして使っていく。

XFOILではソースコードからwindowsでの実行形式(.exe)が置かれるまで1年ぐらいかかったのでそれが待てる人は必要ないけど、すぐに使いたいって人への記事です。

具体的な使い方の記事とかはやる気次第で作るかも。

 

まず自分の環境。

メインはwindowsVISTA(笑)だけどコンパイルの簡単さとかを考えて仮想マシンのLinux上で動かそうとした。

OS:Ubuntu10.10(Oracle VM VirtualBOX上)

CPU:32ビット

Win機だが全く同じだったのでここを参考にubuntu導入

コンパイル(ビルド)するのにFortranのコンパイラなどが必要なので

  • gfortran
  • Intel Fortran Compiler(ifort)
  • Xlib.h

をインストール

※——追記——

ifortのインストールは必要ではありません。gfortranでもビルド(使えるようにする)は可能なのでインストールの簡単なgfortranをオススメします。下のifortのインストールの部分を省略して、途中でMakefileの中身をいじってやります。下に書いた赤文字追記の部分の変更をしてからmake ~~のコマンドに入ります。

※——追記終わり——

gfortranは端末上で

% sudo apt-get install gfortran

でインストール完了。

ifortはここを参考に。

ただし今のバージョンだと多少違って、インストール後に

% . /opt/intel/bin/ifortvars.sh -ia32

と打たないとコンパイルできなかった。ログアウトしてもifort使いたいならホームディレクトリの.profilのファイルの末尾に

. /opt/intel/bin/ifortvars.sh -ia32

を追加する

 

libPltのところでXlib.hがないとか言われたから、ここのように

% aptitude show xorg-dev

でインストールされてるか確認して

% sudo aptitude install xorg-dev

でパッケージのインストールをする

※——追記2011-12-12——

上記は下の方じゃないと動かないかも

% sudo apt-get install xorg-dev

※——追記終了——

以上のインストールが出来たら

ここを参考にコンパイルしていく。

これは非常に有用でありがたい記事でした。

同じことを書くようだけど少しだけ違うので改めて書くと、本家サイトからXrotor7.55.tar.tgzを落としてきて解凍する。

解凍は

% tar -xzvf Xrotor7.55.tar.tgz

などのようにする。解凍されたフォルダの./plotlibに移動して

% cp config.make.SP config.make
% make libPlt.a

これでlibPlt.aというファイルが出来る。その後./binに移って、

% make xrotor
% make jplot
% make jplote

としたらコンパイル通った。実は何度も試行錯誤してて、ここまでで半日以上かかったが、一度コンパイルしてエラーが出たら解凍されたファイルを削除し、解凍からやり直すことでエラー吐かないようになった。

 

※——追記——

初期設定だとifortというインテル製のFortranコンパイラを使う設定になっているが、ifortのインストールは少しめんどくさいのでgfortranというコンパイラを使うやり方。下記の変更をしてからmake ~~をするとエラーが出ないはず。

./plotlibにある「config.make」というファイルの16行目を

FC = ifort

を以下に変更

FC = gfortran

もう一点、./binにできている「Makefile」というフィイルの42行目(一行上に# Linux Inter ifort Fortranと書いてある行)を

FC = ifort

を以下に変更

FC = gfortran

※——追記終わり——

 

以上、ビルドが終わったら./binに新たにできるxrotor,jplot,jploteをパスの通ったところつまり、/usr/local/binなどにいれてやると

% xrotor

と打つことでどこでも起動できる。

Ubuntuでインストール直後だったので/usr/local/binにアクセスするために

%sudo passwd

でパスワード設定することによりアクセスできるようする必要もあった。

 

実はwinで動くexe形式のXROTORは持ってるから必要ないんだけど、勉強だと思って弄ってた。

XFOILがGPLで公開されてからのXFLR5みたいにXROTORもUIを改良したソフトを誰か作ってくれればなと妄想中。

 

※※※ 追記 ※※※

Ubuntuのバージョンに限定はあるけど、インストールが簡単になりました。この記事は古いのでこっちがオススメです。

http://d.hatena.ne.jp/ina111/20111221/1324439520

XFLR5のドキュメント日本語訳

前回の記事とpdfにそれなりの反響?を頂けた.公式に載せてもらったすぐ後に同じpdfファイルを中国語で翻訳する人が出てきたりした.良いソフトが世界に広まるのは胸が熱くなる.言語障壁のせいで日本だけが置いて行かれるのは我慢ならないとも思っている.

そんなこんなで,他のドキュメント2つも日本語訳してみた.

“Point is out of the flight envelope” というエラーが出るときの詳細説明と対策

http://dl.dropbox.com/u/3968380/ja_Point_Out_Of_Flight_Envelope.pdf

XFLR5の計算結果と実験値との比較

http://dl.dropbox.com/u/3968380/ja_Results_vs_prediction.pdf

今回も@dynamicsoarさんに校正して頂きました.ありがとうございます.

すぐ公式に載るはず.

日本語や中国語で翻訳する人が現れたのが影響してかver6.03からソフト翻訳の仕方が公開されるようになってた.なので,次のやるべき事はXFLR5のソフト自体の翻訳が第一だと思っている.

次にDLすると付いてくるGuideline.pdfの翻訳.

最近やっとマジメに学生業をやるようになったのと,ロケット作っている関係で暇も少なくなってきたので,協賛・同志の方がいればなぁと思ってます.とても一人でできる作業量ではないので.

読んだ本

関係ないけど,大学の図書館に「飛行機設計入門」という本を入れてもらって読んでみた.

昔は飛行機の本は重い本格派な本か全くの初心者向けの本しか無いと思っていたが,中間ぐらいのわかりやすい本があるなと思って読んだ

スタイロや代替品のまとめ

スタイロフォームを買う用事があったので,性能がそんなに必要ないし,安い代替品がないかなと調べていた.

求めていたものはなかったが,調べたものをまとめてみた.

スタイロフォームなどの素材は一般名は「押出法ポリスチレンフォーム板(XPS)」という種類の素材であり,「発泡プラスチック保温材」の一種としてJISで規格としてまとめられている.

市場に出回ってる商品を作ってる会社は「ダウ化工」「JSP」「カネカ」の3社

同等品として出回っているがどこまで同じなのか不明.

JIS規格なので記述されている特性は同じだと思うが,以上,以下などで規定されているので製造会社によって異なるかも.

使った人に聞いてみると熱線で切断したときの毛羽立ち方やキレイに切れる感じが異なるということ.スタイロフォームが毛羽立ちにくいらしい.

値段は若干違う.

人力飛行機では多くがスタイロフォームIBを使っている気がする.

JIS規格でいうと1種b.

建築用断熱材として使われるときは断熱用フィルム(スキン)を貼っているものがあって種類が増える.

JIS規格

物性値 単位 1種a 1種b 2種a 2種b 3種a 3種b
密度 kg/m^3 20以上 20以上 25以上 25以上 25以上 25以上
圧縮強さ N/cm^2 10以上 16以上 10以上 18以上 10以上 20以上
曲げ強さ N/cm^2 17以上 20以上 20以上 20以上 20以上 25以上
熱伝導率 W/(m・K) 0.040以下 0.040以下 0.034以下 0.034以下 0.028以下 0.028以下
記号 XPS-B-1a XPS-B-1b XPS-B-2a XPS-B-2b XPS-B-3a XPS-B-3b

吸水量 0.01以下

燃焼性 3秒以内に炎が消えて,燃焼しない

熱変形温度 80℃

製品名

ダウ化工は水色系,JSPは黄緑系,カネカは白色

ダウ化工 種類
スタイロフォームIB 1種b
スタイロフォームB2 2種b
スタイロエースII 3種b
スタイロフォームEX 3種b
スタイロフォームRB-GK-II 3種b
スタイロフォームEK-III 3種b
スタイロフォームAT 3種b
JSP 種類
ミラフォームM1F 1種b
ミラフォームMA 1種a
ミラフォームM2F 2種b
ミラフォームMKS 3種b
ミラフォームM2RS 3種b
カネカ 種類
カネライトフォームスーパーE-I 1種b
カネライトフォームスーパーE-II 2種b
カネライトフォームスーパーE-III 3種b
カネライトフォームスーパーE-BK 3種b

参考

押出発泡ポリスチレン工業会

物性値は上からの引用.詳しくは必ずここを参照.

ダウ化工スタイロフォーム物性表

JSP製品情報ミラフォーム

カネカ カネライトフォーム

QPROP(QMIL)の使い方

自分でプロペラ設計エクセルシート作ってみたのでデバックというか比較のためにXROTORなどをいじってた。

XROTORはMark Drela先生に連絡をすればアカデミックな利用の場合無料。ビジネスで使う場合は有償で使うことが出来る。

XROTORは中身が分からないし説明ドキュメントもないので詳細は不明だが、最適プロペラの設計と設計点以外での空力特性を計算してくれる。

XFOILと同様にCUIなソフト。昔のソフトなのでお世辞にも使いやすいとは言えない。

XFOILを作ったMark Drela先生とHarold Youngren先生が2007年からQPROPというプロペラ設計とモーターと合わせた性能計算ソフトをGPLライセンスで公開している。

QPROPとは

ここからダウンロードするとqprop.exeとqmil.exeがある。

QPROPはプロペラとDCモーターが合わさったものの性能計算ソフトウェア。

QMILは誘導損失最小(Minimum Induced Loss)のプロペラの設計ソフト。

QMILでは風車の設計に限ってはMILの他にTotal Power最大のものも設計できる。

QMILでは理論説明のpdfを見る限りLarrabeeの方法で設計されるように見える。(間違ってるかも)

なので人力飛行機あたりで十分使えるプロペラが設計できると思われる。

一方QPROPでは翼素理論と渦法を使って性能計算しているようだ。

ただ、設計点以外の動作点ではモーターと合わせた性能計算なのでちょっと扱いが面倒で使いにくい。

模型飛行機のプロペラを考える人は良いんだろうけど。

特徴として、翼型の風洞試験結果のテーブル(XFLR5などの結果でも十分使えるはず)が必要なく、揚力係数を迎角の1次関数\(C_L(\alpha)\)、抗力係数を揚力係数とレイノルズ数の2変数関数\(C_D(C_L,Re)\)として定義して計算させている。

 

以下、プロペラの設計にだけ興味があるのでQMILだけを取り上げる。

動かし方

.exeファイルをダブルクリックで起動しても一瞬黒い画面が立ち上がって消える。何度やっても同じ。

QMILを使うときはコマンドプロンプト上で動かす。

例えばCドライブ直下やC:\Users\ (ユーザ名)のフォルダにqmil.exeを入れておく

.exeファイルを置いた同じフォルダにインプットファイルを置く

インプットファイルはメモ帳などで作った.txtファイルで良い

コマンドプロンプト(cmd.exe)を開いたらqmil.exeがあるディレクトリ(フォルダ)まで移動して

>qmil (インプットファイル名) (アウトプットファイル名)

を入れる。間に半角スペースが必要。 続きを読む