Inaprop -プロペラ設計・解析ソフト- 紹介

Inapropというソフトを作りました.
β版という扱いですが,ある程度使えると思うので公開します.
β版ということでまだまだ自分でも確認しているバグもあります.エラーが起こったら報告していただければ幸いです.

Inapropリポジトリのexeファイル置き場

のView Rawからダウンロードしてもらうのが最新版です.

追記2014/08/11

英語での紹介ページを作りました。右上から日本語にも飛べます。

http://inaprop.ina111.org/

 

概要

Inapropは低レイノルズ数領域,具体的には人力飛行機や飛行船などの領域で使うプロペラを設計できるソフトです.低レイノルズ数という言い方は不適当で低円盤荷重という方が適当かもしれません.

exeファイルで公開していますので,インストールの必要はありません.
Windows専用です.Windows Vista,7での動作は確認していますが,他の環境は確認していません.

まだ機能を充実させていないので,正確な値は出力しません.人力飛行機でのおおよその値を見るのには使えます.特に低レイノルズ数領域でのDAE51という翼型の揚力係数以外の翼型の性能を反映させていない部分が致命的です.また,プロペラのような回転体において2次元翼型の性能と実際のプロペラの翼型性能はある程度の誤差があることが報告されていることも留意が必要です.
翼型データが固まっていないのでピッチ角(グラフでphi)の値は信用しないで下さい.ここは優先的に修正したいと思っています.
応援されれば機能追加する予定ですw

ちゃんとした機能のものが必要な場合,XROTORというソフトをオススメしています.

機能

  • 3つの設計手法に対応
  • 最小全損失のプロペラの設計手法(渦法)
  • 最小誘導損失のプロペラの設計手法(Larrabeeの手法,Adkins & Liebeckの手法)
  • 設計したプロペラのパラメータ変更時の解析
  • 複数プロペラの比較
  • 設計プロペラのCSV形式出力

必要なもの

Microsoftの.Net Framework 4が必要になります.

覚書

渦法(vortex method)においてはプロペラの渦法の論文も出されている原田さんから教わったことを元にしています.一般にはオープンになっていませんが,原田さんにコンタクトを取れば頂けるMatlabプログラムであるHiyokoPropをC#に書き直しているものです.このMatlabプログラムが非常にわかりやすく,勉強になるものになっています.
Larrabee method, Adkins & Liebeck methodについては該当論文を参考にプログラムに書き下しています.
渦法では計算時間がかかるのは損失最小のプロペラを計算するのに大域最適化問題を解くためにシミュレーテッドアニーリング法を使用しているからです.計算時間を考えて分割点が少ない上に収束条件が甘く設定しているのでガタガタになりますが,何度かやるとたまにいい結果が出ます.
Larrabee methodの方では誘導損失最小となるプロペラ条件を仮定していることから収束計算が無く,一瞬で計算が終わります.

ファーストリリース現在,解析の部分と翼型の性能を計算結果に反映させる機能をGUIと結びつけていません.テストが十分でないためです.今年の秋頃に時間があれば作り直します.

ライセンス

深く考えているわけではありませんが,MITライセンスに従います.
無償,無保証,利用/改造/再配布OK,著作権表示義務あり,二次利用においてソース公開義務なし,二次利用においてライセンス変更OK

リンク

最新版のソースはここに置いています.理論面ではここのRefarenceの論文集を参考になるかと思います.私の文章より紹介している論文を読むのが理解の近道です.

XROTOR周りの話は参考になると思います.

ソフトの立ち位置と利用場面をよく理解して,素敵に紹介してもらっています.

 

 

人力飛行機の主翼設計を銀本より良くするたった一つの方法

タイトルは流行りの煽り文句です.9割嘘です.自分で書いてイライラしますね.

下にも同じリンク貼ってるけど,今回作ったプログラム

プログラム:https://gist.github.com/ina111/5053876

解説:https://gist.github.com/ina111/5053903

鳥人間関係で面白いネタを教えてもらったので,議論するのもなんなのでサクッと作ってみました.

人力飛行機など(効率重視の飛行機ならなんでも)の主翼の設計をする時の話です.

まえがき

飛行機を低出力で飛ばすためには揚抗比というのが大事になります.揚力の大きさに対しての抗力を小さくしろってことです.人力飛行機では抗力の中でも誘導抗力というものが全体の1/3もあります.これは翼の上下面で圧力差が出来ることから翼端で渦発生し,その生成エネルギーで消費されるものです.

この誘導抗力を最小にする主翼の平面形というのは航空力学の教科書に載っています.それが楕円循環分布と呼ばれる.揚力の分布が楕円状になるものです.昔の航空機で主翼の平面形が楕円形になっているものがあったりします.循環っていうのは揚力や誘導抗力などを上手く数式で表せる便利なやつです.

主翼の設計方法

十分な揚力が得られる翼面積を保ちつつ,誘導抗力が小さくなるように楕円循環分布に従うように主翼の平面形を決めていきます.

教科書に書いてるこの方法が,イケテナイです.

楕円循環分布は揚力とスパン幅が一定の場合の誘導抗力が最小の循環分布です.つまり,空力面だけでの最適な形です.

空力だけではなく構造も含めて最適な主翼が設計したいなら曲げモーメントと誘導抗力を同時に制限して最適問題を解かないといけません.

そのことを書いた論文がR.T.JonesのNACA(NASAの前身)のテクニカルノート(TN-2249,"The spanwise disribution of lift for minimum induced drag of wings having a given lift and a given bending moment")です.これは平面翼について解析的に書いてあります.

これを非平面翼で数値計算で解いて日本語で書いてあるのが浅井先生のNAL(JAXAの前身)のテクニカルレポート(TR-797,"非平面翼の最適設計-揚力と翼根曲げモーメントを与えた時の最小誘導抵抗-")です.

プログラム

このTR-797をMatlab(Octave)で実装してみました.200行程度だったのでGithubのサービスの中のGistを使ってみました.詳しくは論文と下の解説を読んで下さい.論文を読んで下さい(大事なので2回)

プログラム:https://gist.github.com/ina111/5053876

解説:https://gist.github.com/ina111/5053903

プログラム中のbetaの値を0.9にしています.これは翼根での曲げモーメントを楕円循環分布での値から0.9倍にした制限をかけた時の誘導抗力が最小になる揚力の分布が以下になります.

翼根のあたりでより多くの揚力がが必要な分布になっています.

この条件(Gistに載せているデフォルトの条件)のときはbeta=0.9で飛行効率0.92となりました.だいたい1[N]ぐらいの違いでしょうか.この違いが構造重量で吸収できるようなら,楕円循環分布を捨てて,こちらの循環分布を用いるべきなことがわかります.

実際は構造を上手く攻めたり,できるかどうか,あと複数パラメータ振ってみての比較をするかどうかで,採用できるかどうか変わってくるかと思います.

感想

揚力線理論なプログラムは組んだこと合ったけど,渦格子法っぽいプログラムは初めて組んだので,これで人力飛行機なプログラムはかなり満足しました.やり残したことキチンと無くして社会人になりたいですね.

アメリカ旅行行ってきた

メインの目的はワシントンDCのスミソニアン博物館の中の航空宇宙博物館でした。

記憶の保存のための適当な写真しか撮ってないですが、アルバム公開してみます。自分用の備忘録です。旅行中3000枚撮った中で1000枚近く載せてるのでほとんど選別してないです。

Google+のアルバム

アメリカ旅行全体

ニューヨークのイントレピッド航空宇宙博物館

ワシントンDCのスミソニアン博物館・国立航空宇宙博物館の本館

ワシントンDCのスミソニアン博物館・国立航空宇宙博物館の別館

主な行った場所

ニューヨーク
  • アメリカ自然史博物館
  • メトロポリタン美術館
  • ニューヨーク近代美術館
  • マンハッタンの南側の観光地っぽいところ
  • 自由の女神
  • グランドゼロ
  • タイムズスクエア
  • イントレピッド海上航空宇宙博物館

 

ワシントンDC
  • ホワイトハウスとかがまとまってる公園の中でもスミソニアン博物館
  • 国立航空宇宙博物館の本館
  • 国立航空宇宙博物館の別館(バスで1時間程度)
  • ナショナル・ギャラリー
  • 国立自然史博物館

 

西海岸
  • サンフランシスコ
  • ロスアンゼルス
  • 従姉妹の家

 

思ったこととか

スペースシャトルのオービタやスペースシップワンはもちろん、SSMEやらJ-2ロケットエンジンやらF-1ロケットエンジンやら零戦やら、もうとにかく有名所な飛行機やらロケットやらミサイルやらが勢揃いで全部見れて、感動しっきりでした。

機体1つでも見てるだけで感動出来るようなものがたくさん並んでて、ひたすら圧倒されました。感動を一回り超える感情に包まれて楽しく見学できました。

生で見れると単に知ってるだけじゃなくて、知識で向かい合う感覚から自分の知識で包めるような感覚になれますね。

ニューヨークやワシントンは急いで見て回ったために、見学したところでも全部はじっくり見れなかったので、もう一度行きたいぐらいです。西海岸は時間なかったからもっとゆっくりしたかったです。

見てきたもの達に負けないようなものこの人生のうちで作ろう。

FreeIMUの中の人が亡くなった話

FreeIMU

FreeIMUというオープンハードウェアの9/10軸の慣性計測装置を開発している Fabio Varesanoさんが先日心臓発作で亡くなったそうです.30歳手前の博士取ってすぐぐらいの年齢のようでとても若いです。
FreeIMUはそのセンサボードが置かれた姿勢や高度が計測できるボードです。オープンハードウェアというのは設計図から使い方までがオープンになっていて自分で追っかけて製作が出来るようになっているハードウェアです。
加速度ジャイロはMPU6050,地磁気センサはHMC5883L,気圧計はMS5611が使われています.まさに自分が使っているセンサと同じものです。非常に参考にさせてもらっていただけにとても残念です。
センサを使うときに知らないセンサを使うのは使い方がわからなかったり,使えるものなのか心配で既に使われているものがあると信頼性がとても上がるので、
FreeIMUという先駆者がいたのは非常にありがたいことでした。ライブラリを見てプログラムの参考にもさせてもらっていました。
新しく出てホビー用で購入可能で新しいセンサをドンドン使う方針なので、新しいもの好きとしては参考になっていました。
センサの校正のためのソフトウェアも開発中のようでこれからが楽しみでした.スマホやタブレット用にセンサの進化が急速に進んでいる昨今においては大変期待のプロジェクトでした。応用としてクワッドローターもたくさん作られていたようで,オープンハードウェアの更なる広がりが期待できるプロジェクトでした。
これから
オープンソースのソフトウェアやらハードウェアは開発するインセンティブが働かないために人材の代替性も薄く,志ある開発者の善意に強く依存するのでFreeIMUの開発を進めていた氏の訃報は進歩の停止そのものだと思います.
海外通販サイトにはFreeIMUと同じようなセンサ使った中華系のセンサボードありますが,オープンハードウェアの開発が止まれば,こっちの進化も止まるんだろうなぁと思っています。
とにかく残念です。ご冥福をお祈りします。
FreeIMU関連の動画

OpenRocketを日本語翻訳 続き

先の記事の続きです。

一時的なものですが、OpenRocketの日本語翻訳されたものができました。本バージョンにもそのうち対応される予定です。最新バージョンは必ず本家のここで確認してください。

OpenRocket2012-12-29.jar

元はダウンロードに置いています。直リンクです。

翻訳作業している間にブログのロゴやら何やらくれと言われたので、作ってみました。すごくやっつけ作業ですが、これから使っていきます。

ロゴ

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