強度計算brazierの式とか

人力飛行機なお話。

1次構造材のCFRPの桁の強度設計周りの話。

ネット上で探そうとしてもなかなか見つからない円筒パイプの局部座屈に関する式brazierの式のメモ。

(あんまりまともに受け止めすぎると良いことは起きない記事。

個人的にはもう一生目にしないだろうと思ってたこれをこれからやりたいことに使う用事ができたからブログにしてみた。

brazierの式

パイプに曲げがかかると凸面に引っ張り、凹面に圧縮の力がかかる。FRPは圧縮強度が弱いから圧縮側から壊れてそれが全体に広まっていく。このときパイプの径が大きくて厚さが薄いと圧縮ではなく局部座屈によって破断する。その局部座屈の破断応力を式にしたのがbrazierさんが出した下の式

f:id:ina111:20100917010236p:image

\sigma_{bc}:局部座屈応力
E_{x},E_{y}:パイプの軸方向をx、その直交方向をyとしたときの弾性率
\nu_{x},\nu_{y}:x、y方向のポアソン比
t:円筒パイプの厚さ
D:円筒の直径

重要なのは座屈応力(壊れるときの力)が\frac{D}{t}に反比例しているということ。

スカイスポーツシンポジウムの発表によると実験値と比較して修正係数0.5をかけると良く合うらしい。((これも積層構成や製作精度によるからどこまで信頼するかって話になるけど、、、

0.5をかけた式は↓

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さらに、\frac{D}{t}が小さい=桁径が小さくて、肉厚のときは破断応力はある程度の値で一定になるらしい

以上からわかることは

桁は局所座屈応力と曲げの破断応力の小さい方から壊れるので

  • 大直径にすると断面二次モーメントかせげて曲げによる応力が減るから薄肉で軽く作れる!やったね!って思えるけどこんどは局部座屈が怖くなるよ
  • 桁径やply構成を自由に変えられるなら上の式から出てくる局部座屈応力と曲げの破断応力を一致させると重量的に良い桁になるよ

 

【追記】よく考えたら言いたかったことが言えてなかったので

具体例として

パイプのx,yについて等方的だと仮定して、すごく怪しげな値を入れてみる

E_x,E_y =3.5*10^{11}[Pa]

\nu_x,\nu_y = 0.3

修正係数0.5(下の式に相当)

を当てはめてD/tの関数としてグラフにすると

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ここで直線は曲げ強度の参考値

HOPECさんの資料を参考した(http://www.hopec.jp/frppipe/data/index.html

本当は曲げじゃなくて凹面の圧縮による破断じゃないかと思ってるけど値の幅が広い曲げ強度を持ってきた。

だいたいここの間の応力で折れるという直線。

自分の経験ではΦ90のply数7~10で先のHOPECのサイトの圧縮強度の真ん中ぐらいに入ってる。

Φが小さくてply数が少ないと全然この範囲に入ってない。違ってくるのは最大主応力説で考えてるからだと思ってる。

考察(感想)

D/tが100以上になってくると曲げによる破断応力より局部座屈応力が低くなってくる可能性がある。

人力飛行機の主桁の中央部にはΦ100~130[mm]のCFRPパイプが使われることが多い。このとき厚さt=1.0[mm]以下の桁を設計するときは曲げ強度以外も怖くなってくる。

中央部以外に端部では曲げ応力が中央部に比べてかからないからって薄くしがち。4~5plyにするとD/tは100以上になりそう。端部付近の強度不足で折れてるところはほとんど見たこと無いから関係ないだろうけど!

製作精度高いしply構成的に修正係数こんなに低くないしと思えばこの記事自体関係ないけど!!

ってか自分の設計の時にはbrazierの式も余裕だったし全然関係なかったけど!!

 

追記

ソースが心配になってきたから少し調べた.読んでないけど参考文献として

L. G. Brazier On the Flexure of Thin Cylindrical Shells and Other "Thin" Sections

Proceedings of the Royal Society of London. Series A

Vol. 116, No. 773 (Sep. 1, 1927), pp. 104-114

http://www.jstor.org/pss/94717

モデルロケットよい本リスト

読んだ本

人力飛行機設計するまでに読んだ本.

怠惰なために多くの本を読むことは出来なかった

独学でも本を読む労力を最小限にしながら,必要なところは押さえられると思う.

  • 航空力学の基礎

鳥人間業界だと有名.通称「銀本」.幅広くまとまっている.これを読んだから空力設計できるわけじゃないけど,必要な知識はだいたいこれで学べる.途中の薄翼理論と最後の章の圧縮性の話以外全部知ってるべき.チームで数人は読んでないと話にならないと思う.

  • 模型飛行機の科学

飛行機の知識なしに最初から銀本とか読もうとすると苦しいから入門的な本として先に読んでた

手元にないから詳しいこと忘れたけど読みやすくて良かった.

  • 航空機力学入門

設計始めてから飛行機の安定性とかが気になりだしてからつまむぐらいに読んだ.安定性の議論とかがしたくなったら必要なことは書いてある.けどかなり難しい.なるほど全然わからんって感じで眺めてた.入門って言葉に騙されたくなったら是非一読を.

  • 流体力学

他の学科で使ってた流体力学の教科書.粘性流体の境界層のあたりぐらいは役に立つかと思ったけど,数式を見て混乱し頭を痛めて挫折して辛くなるための本.流体力学の本としてはいいんだけど設計の役には立たない.ベルヌーイの定理だけ知っていれば十分って噂もある.

  • 材料力学の基礎

これも教科書.計算式以外にも考え方的に材料力学は必須.部品設計やったりちゃんと製作するつもりの人なら必ず勉強した方がいい.材料力学の教科書ならなんでもいいと思う.当時使ったというか読んでたのは前半だけ.前半だけで十分.

  • 入門 複合材料の力学

人力飛行機だと強度計算の多くは複合材料の知識が必要.当時はもっと分厚い本から選び出して勉強してたけど,この本だと比較的簡単に複合材料で知っておくべきことが学べる.材料力学を一通りやったあとに読むといい.

  • 【10/09/10追加】図解入門 よくわかる航空力学の基本

銀本は少し難しいというか全員向けじゃないのでもう少し簡単に理解したい人向け.著者名を見てるだけで人力飛行機向けなんだなと思ってしまう本(笑)

売ってる本じゃないけど

  • ベアリングメーカのカタログ

駆動回りのことを知っておこうとしてメーカーのカタログが教科書になって良い.一番キレイでわかりやすくまとまってた.例えばNSKとか.無料だし.

http://www.jp.nsk.com/app01/jp/catalog/index.html

まだ追加できそうだけど思い出せない

人力飛行機の翼型の選び方

人力飛行機から完全に引退してるのでウザOBとしてもう少し人力飛行機のTips記事.

そのうちDAEシリーズから完全に脱してもっと良い性能の翼型の人力飛行機ばっかりになったら楽しいだろうなと妄想してる.

人力飛行機の翼型の選び方に関する記事で日本語で使えるものって知ってる限り存在しないので書く.

設計者志望の人の参考程度に.あくまで参考程度に.独学で人からの判断を伺ったこと無いので.

低レイノルズ数での性能

レイノルズ数10^6以上の領域では翼型の性能は変化しにくいが,人力飛行機な領域(低レイノルズ数)の10^5だとレイノルズ数によって翼型の性能が変わってくる.

境界層が層流から乱流に変わるまでに生まれる層流剥離泡(separation bubble)の挙動と遷移点の位置の影響が大きいらしい.

翼型

前の記事で翼型の読み込みのところに具体的な名前を上げたものから選ぶ

  • Daedalus 87/88で使われた現在主流な翼型DAE11,DAE21,DAE31
  • 人力飛行機で使われてたらしいEPPLER 393,EPPLER395,EPPLER396
  • 高速機で使われているFX 76-MP-120,FX 76-MP-140,FX 76-MP-160
  • 比較対象として無尾翼機で使われる反転キャンバー翼MH78
  • 軽飛行機や鳥人間コンテスト滑空機に使われるNACA4412,EPPLER654
  • 下面が平らで模型飛行機に使われるCLARK Y

翼型データベースから持ってきたdatファイルそのままだと解析うまく通らないことがある

http://d.hatena.ne.jp/ina111/20100828/1282977773

を参考に[Refine Globally][Refine Locally]などを試すと良い.

f:id:ina111:20100828145130j:image

条件

機速7.0m/s~10.0m/s

コード長1200mm~400mmを想定して

Re = ¥frac{UL}{¥nu}

よりRe = 250000~800000になるので簡単に300000,500000,700000の三つのレイノルズ数で考える

グラフで見るもの

揚力曲線(Cl vs α)

揚力曲線では揚力係数の値と失速角と失速の緩急を見る

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揚力係数が低いと翼面積が大きくなって実際に翼を設計したときに抗力が大きくなる.

失速角が小さいと上昇を試みるときなどにピッチがアップにしにくい

失速角以降の揚力係数の下がり方が緩いと失速特性が良い

揚抗比曲線(Cl / Cd vs α)

揚抗比こそが翼型の性能の一番のポイント

どこに揚抗比最大が来るのかと揚抗比の値がいくつかを見る

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縦揺れモーメント曲線(Cm vs α)

重要度は高くない

Cmの大きさ自体は無尾翼機設計するとき以外は気にする必要がない

失速角以前のところでCmの値の変化があると1次構造材にかかるねじりモーメントのことを考えなくてはいけないのでCmの変化が少ないとすこし嬉しい

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遷移点に関するグラフ(Cl vs Xtr)

直接翼型選びには関係しない.

Xtrは遷移点の位置を表している.

0.6なら翼の60%のところまで境界層が層流だということ.

遷移が前縁に近づくと特性が変わるので少なくても前縁から遷移点までは翼型の再現を良くしようという考え方もある.

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翼型比較

DAEシリーズ

DAE11が赤,DAE21が緑,DAE31が黄

白は比較対象としてDAE31のRe=500000

  • Re=500000

f:id:ina111:20100904140636p:image

Clの値はわずかに31が良い

31>21>11の順番に失速角が小さくなる

31>21>11の順番に失速特性が良くなる

最大揚抗比はどれも同じだが最大揚抗比になる迎え角は11>21>31

翼を最大揚抗比で使う必要はないが,11を最大揚抗比で使おうとすると失速角近くになりあまり良くない

失速角までCmの値はかなり安定している.31だけ少し値が離れている

  • Re=300000

f:id:ina111:20100904140637p:image

Cl,Cmはレイノルズ数が変わっても変わらず

抗力が増加する分,揚抗比曲線が右下にシフト

遷移点は後縁側にシフト

  • Re=700000

f:id:ina111:20100904140638p:image

Cl,Cmはレイノルズ数変わっても変わらず(黄色と白の曲線はかぶってる)

揚抗比は上に10程度シフト

遷移点はわずかに前縁側に

EPPLER

赤:EPPLER393,緑:EPPLER395,黄:EPPLER396

比較対象として同じReでDAE31を白

  • Re=500000

f:id:ina111:20100905151146p:image

393では10度以上の高迎角のとき前縁先端で剥離してて値が収束しなかった

395,396の揚力曲線はDAE31とかなり近い.失速がEPPLERの方が少し急

最大揚抗比は迎え角が違うくらいで値は近い

Cmの絶対値がEPPLER395,396の方が大きい

  • Re=300000

f:id:ina111:20100905151147p:image

DAE31とEPPLER395,396の各曲線が似ているのは同じ

393の揚抗比が他のと近くなってきた

  • Re=700000

f:id:ina111:20100905151148p:image

この領域でもDAE31とEPPLER395,396は似ている

Cmの値による桁位置とか書く予定

FX76

赤:FX 76-MP-120,緑:FX 76-MP-140,黄:FX 76-MP-160

比較対象として同じReでDAE31を白

  • Re=500000

f:id:ina111:20100905151149p:image

  • Re=300000

f:id:ina111:20100905151150p:image

  • Re=700000

f:id:ina111:20100905151151p:image

NACA4412とEPPLER654とCLARK Y
反転キャンバー

ここまでで疲れたからまたあとで更新

誰か得するのだろうか

参考資料

少しググると出てきたものの列挙

自分では全部は読んでないです.誰得なリンク.

人力飛行機は日本がガラパゴス的に発展してるので日本の人力飛行機のまとめが最強だとは思う

泣く子も笑う,笑う娘は泣く超絶イケメン(笑)@t_maniaの作ったサイト.今はwiki化

http://www21.atwiki.jp/trimaniax/

http://trimaniax.web.fc2.com/

昔の海外の人力飛行機の写真がある.ここぐらいは見て面白いと思う

http://www.flickr.com/photos/amphalon/sets/72157603771356929/with/2208638545/

海外の人力飛行機のまとめならここが良い

http://humanpoweredflying.propdesigner.co.uk/

上と同じサイトだけど図面や写真はここ

http://www.pictures.propdesigner.co.uk/index.html

取り敢えず人力飛行機な人は軽く目を通したいダイダロスについてのwikipediaのページ,誰か早く日本語訳しないかなー(チラッ

http://en.wikipedia.org/wiki/MIT_Daedalus

日本語でお,いや英語でおkと思わせるダイダロスのドイツ語での説明.もちろん読めないけどここのリファレンスは興味あった(ほとんど見てない)

http://de.academic.ru/dic.nsf/dewiki/296678

Low-Reynolds-Number Airfoil Design for the M.I.T. Daedalus Prototype: A Case Study

ダイダロスの試作機として作られたライトイーグルの翼型に関するもの(pdf注意)

http://www.demec.ufmg.br/Cea/Disciplinas/AerodinamicaAplicada/artigo18.pdf

購読しないと読めないからずっと読みたいなと思ってたもの(読んでない)

https://www.annualreviews.org/doi/abs/10.1146/annurev.fl.22.010190.000521

Low Reynolds Number Airfoils MAE 5233

低レイノルズ数での説明がされてるけど,なるほど全然わからんと思ってみたり(pdf注意)

http://www.caselab.okstate.edu/ocharle/projects/LowReAirfoils.pdf

Low Reynolds Number Airfoil Design Lecture Notes

XFOILを使って翼型設計した例.読んでいて頭痛くなるし専門じゃないのに読もうとして不幸になる(pdf注意)

http://www.ae.illinois.edu/m-selig/pubs/Selig-2003-VKI-LRN-Airfoil-Design-Lecture-Series.pdf

ロードセル使ってみたいな

使ってみたいなということで売ってる会社を調べてみた.

アンプとインジケータぐらい自作出来るんじゃないかとか考えるけど

時間とお金の兼ね合いかなぁ

どこかから借りられるのが一番良い

ロードセルとインジケータ両方売ってるところ

共和電業

http://www.kyowa-ei.co.jp/

昭和測器

http://www.showa-sokki.co.jp/

エー・アンド・デイ

http://www.aandd.co.jp/adhome/products/index_weighing.html

minebea

http://www.minebea.co.jp/product/index.html

インジケータのみ

オムロン

http://www.fa.omron.co.jp/product/family/1537/index_p.html

アンプのみ

バロン電子

http://www.baron-ec.com/2009/02/post-13.html

自作ときに参考に見るもの

OPアンプによる信号処理の応用技術

http://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/36/36121.htm

アンプ

http://www.analog.com/jp/other-products/militaryaerospace/ad524/products/product.html